お譲り頂きまして有難うございました。
来歴は全く不明ですが、どこかの海岸局でしょうか?
さて、海岸局といえば、銚子無線局の本がありますので、ご紹介をさせて頂きましょう。
銚子無線局は1908年(明示41年)に、船舶無線用に開設された日本最初の海岸局です。その後、衛星通信化により1996年に廃局されました。
当時、廃局反対闘争が展開されましたので、ご記憶の方もいらっしゃるかと思います。
それを背景とした本(小説として執筆されています)がこちらです(お客様よりご紹介頂きました。有難うございました。)
『電鍵砦の一矢 -NTTに立ち向かった無線通信士たち-』(菊池長:著/一葉社/2013年)
折角ですので、その中から、すこし長くなりますが引用しましょう。
無線通信士、江口一雄の最後の仕事の場面です。
<(前略)午後三時から8メガJCT席の担当となった。三時0分からの一括の後、三隻の船舶と交信して、ぷっつり呼び出しが途絶えた。午後四時にはこの席は本日の運用を終了するが、「俺の通信士はこれで終わりになる」と思った。残り時間10分前に、JCTをを呼ぶモールス音が聴こえた。即座に交信体制に入った。船名ASIANSMAIL、コールサイン9VFLからの一通の受信。横浜の船舶代理店宛ての検疫電報である。語数一八の無線電報は直ぐに終った。丁寧に受信証「QSL1」を送る。これが最後となる「VA」を打鍵し、トントンのやり取りを持って※交信は終了した。
午後四時に操作盤の電源を切ると、一台の立て振れ電鍵が一雄の目に飛び込んできた。この席に備え付けのものだが、接続コードが抜かれ、殆ど使われずに操作盤の脇に置かれたままになっている。現用の電鍵の多くは、親指と人差し指の軽いタッチでモールス符号を送り出す「エレキー」である。一雄は頸肩腕障害に罹患して以降、立て振れの電鍵は使っていない。しかし、何か懐かしい思いがした。最後の仕事はこの電鍵を使って終りたかった。(後略)>
この後、件の電鍵を手元に引き寄せ、打鍵の幅を調整するところで、同僚に声をかけられ我に返ります。
※トントンのやりとり:通信の終了を確認しあう、通信士双方の暗黙の了解での方法(引用者注)
さて、閑話休題、こちらの受信機は正面に銘盤等がありませんので、正確には不明ですが、その外観から推測しますと、RG-81Aモデルと思われますが如何でしょうか。
(こちらはアンリツRG-81A)
中の改造も無く、元来の仕様のままでした。
受信も目立ったダメージも無く、お蔭様で高額での買取が可能でございました。
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高山無線では業務用受信機も積極的に買取させて頂いております。
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